2003年度 冬山合宿(12/22〜1/4) | 北アルプス(鹿島槍ヶ岳)

目次

山行概要

目的冬季縦走技術の習得と訓練、北稜ルートからの鹿島槍ヶ岳登頂
山域北アルプス(鹿島槍ヶ岳周辺)
日程2003年12月22日〜2004年1月4日
メンバー小久保(CL)、乙山、金生谷、北村、三戸呂、高野監督、松本OB、高橋OB

長期間にわたる冬山縦走訓練として、鹿島槍ヶ岳北稜を目指す行程を設定した。B.C.からAC(アタックキャンプ)を設営し、北稜にFixを設置しながらルート工作を進め、最終的に爺ヶ岳中央峰をF.P.とした。体調不良者の下山サポート、Fix工作、アタック、荷下げなど、各班が役割を分担しながら厳しい冬山の中で行動を続けた。

行動概要

12月22日(月) 晴

信濃大町駅(4:55)〜大谷原手前分岐(6:30-7:00)〜BH(8:30-10:30)

新宿のバスターミナルまで官物はダブル歩荷。松本光司OB、高野監督、山本篤OB、天野OB、谷山OBに見送られまたたくさんの差し入れを頂き、22時30分東京を後にする。

12月23日(火) 晴

本隊:信濃大町駅(4:55)〜大谷原手前分岐(6:30-7:00)〜BH(8:30-10:30)
偵察隊:BH(10:30)〜1500m付近(13:30)〜BH(14:20)
歩荷隊:BH(10:30)〜分岐(11:20-12:05)〜BH(13:05)

信濃大町駅の待合室で朝食。タクシー2台で大谷原手前の分岐まで行く。途中、小久保、松本OB、高橋OBで鹿島山荘にステーションをお願いしに行く。分岐から先は除雪されておらず、ここに官物の一部をデポして出発。はじめ踏み跡はあるがすぐになくなり、わかんを履く。その後はスムーズに尾根取り付きまで達する。川が雪に埋まっておらず渡渉があって危険と判断し、B.H.を予定変更して林道脇の樹林の中にする。テント設営後、2隊に分かれる。

〈偵察隊〉:尾根の左側の斜面から登る事にする。膝くらいのラッセル。上に行くほど雪の下から藪が出てきて歩きにくい。偵察予定地である露岩手前の1500m付近で引き返し時間となり、ルート整備をしながら引き返す。

〈歩荷隊〉:分岐まで戻り、デポした官物を梱包してB.H.に戻る。帰幕後は水汲み。

12月24日(水) 晴後雪後晴

偵察隊:BH(6:25)〜P1663m(10:45-11:40)〜BH(13:00)
歩荷隊:BH(6:32)〜P1663m(11:05-11:40)〜BH(13:00)

〈偵察隊〉:昨日の到達地点までは難なく進む。1550mの露岩は直登を試みるも重荷ではきついと判断し、右側を巻くように1P Fix。P1663mを越えてB.C.予定地の1630mのコルまで行くが、笹が出ており、風も強いため引き返してP1663mをB.C.とする。ピークで歩荷隊と合流。一緒にB.H.へ戻る。ミーティング後にみんなで天野OBからの差し入れのケーキを頂く。

〈歩荷隊〉:わかんに手間取り出発が遅れる。偵察隊が先行しており重荷だがラッセル済みなので歩きやすい。はじめから1年生1名が体調不良で遅れ、ゆっくりと進む。Fixは問題なく通過し、P1663mで偵察隊と合流。持ってきた官物をデポする。

12月25日(木) 晴時々雪

BH(6:31)〜B.C.(8:50-10:30)〜BH(11:45)
偵察隊:B.C.(10:15)〜1750m露岩(13:35)〜B.C.(14:25)

メンバー
偵察隊:乙山、高橋OB(※三戸呂はB.C.入り後テントキーパー)
歩荷隊:小久保、金生谷、北村、松本OB

テント撤収して出発。1本目から1年生1名の体調が悪く遅れる。休憩しても回復しないため松本OBに付いてもらい隊を分ける。その後本隊は順調にB.C.に到着。テントを設営している間に30分ほど遅れて後続隊も到着。テント内で昼食の後、偵察隊は上部へ、歩荷隊は雪採りをしてからB.H.に戻る。

〈偵察隊〉体調の悪い1年生はテントキーパーとする。アイゼン・わかんで出発。P1830mまでの急な尾根は、始めは尾根の左側を腿くらいのラッセルで巻き気味に登る。1700m付近から上は所々木登りする感覚で登る。1750mの露岩の上の段差を越えた所までFix2P張った所で時間となり、B.C.へ引き返す。

12月26日(金) 雪

偵察隊:B.C.(6:30)〜P1830m(9:25)〜P1971mの肩(12:00)〜P2045m(13:30)〜B.C.(15:15)
歩荷隊:BH(6:15)〜B.C.(8:10)

メンバー
偵察隊:乙山、高橋OB
歩荷隊:小久保、金生谷、北村、松本OB
テントキーパー:三戸呂

〈偵察隊〉昨夜から雪が降り、積雪は5cm程度。今日も1年生は体調が悪くテントキーパーとする。昨日のFix終了点からもう1P FixしてP1830mに届く。その先の尾根は細く両側が切れており、尾根上も所々下が空洞だったり木登り箇所があったりと歩きにくい。P1971mの肩まで出るとあとは広く緩やかで、膝下の単純なラッセルのみ。時間切れでAC予定地2060mのコルまでは届かず、最終到達地点のP2045mに使わなかったFixロープ、赤旗をデポして引き返す。

〈歩荷隊〉テントを撤収し、ヘッドランプをつけたまま出発。順調にB.C.に辿り着く。テント設営をして9:10の天気図をとった後休息とする。

12月27日(土) 雪

下山サポート隊:B.C.(6:45)〜大谷原(8:30)〜鹿島山荘(9:45-10:50)〜B.C.(13:50)
偵察隊:B.C.(6:40)〜P1830m(8:30)〜P1971mの肩の手前(10:00)〜B.C.(11:30)

メンバー
下山サポート隊:小久保、三戸呂、松本OB
偵察隊:乙山、金生谷、北村、高橋OB

〈下山サポート隊〉合宿の始めから体調不良だった1年生は回復の兆しが見られないので下山させることにする。鹿島山荘まで行き、実家が近かったので家族に迎えに来てもらう。

〈偵察隊〉起床前遠くで吹いていた風も出発の頃には止む。昨日到達しなかったAC予定地の2060mのコルを再度目指す。P1830mへの急な尾根も1年生はゆっくりだが確実に登っている。P1830mからアンザイレン。次第に風が強くなってきた。P1971mの肩の手前で天候が一層悪くなり引き返す。帰りに1680m〜1650mの雪面に1P Fixを追加する。

12月28日(日) 晴

偵察隊:BH(6:55)〜P1830m(9:20)〜AC(11:45-14:00)〜P2070m手前(15:00)〜AC(15:25)
歩荷隊:AC(13:00)〜B.C.(15:05)
後発隊:大谷原(7:10)〜B.C.(12:00)〜1750m露岩合流地点(14:20)

メンバー 偵察隊
小久保、北村、高橋OB
歩荷隊:乙山、金生谷、松本OB
後発隊:高野監督

〈偵察隊〉ACの場所としてP2060mよりP2045mの方が快適そうであると判断し、本日は偵察隊のAC入りとし、P2045mまでは歩荷隊と同一行動とする。アイゼン・わかん、梱包に手間取り出発遅れ。P1830mへの急尾根は重荷では初めてで時間は掛かるがなんとか登りきる。P1830mでアンザイレンし、ゆっくり進む。P1971mの肩でザイルをはずし、そこからは交代でラッセルしながらP2045mに到着。南側の一段下がった広いスペースにA.C.建設。その後小久保、高橋OBで上部偵察。2045mより先は細くナイフリッジとなっている。少し登った後、コルへの下りとなり、急なためFixを1P張る。コルの部分は両側が切れており、20mFix。その先の登り返しは急だが、コンテで通過した。その上からナイフリッジとなり、Fix30mを張る。本日の予定の引き返し時間となったため、引き返し帰幕する。

〈歩荷隊〉整地した後引き返し時間となり、BHに向かう。1750mの木登りの段差と露岩の箇所は懸垂で下りてみる。露岩の上で高野監督と合流し、一緒に下る。当初のB.C.予定地のコルに爺ヶ岳に行くという社会人パーティーがテントを張っていた。

12月29日(月) 晴後雪

偵察隊:AC(6:30)〜2350m地点(12:00)〜AC(13:25)
歩荷隊:BC(6:37)〜P1830m(7:55)〜AC(9:30-11:55)〜BC(14:05)

メンバー
偵察隊:小久保、北村、高橋OB
歩荷隊:乙山、金生谷、松本OB、高野監督

〈偵察隊〉北稜合流点を目標にルート工作に向かう。昨日Fixを張らなかったコルからの登り返しにFixを張り、その上の昨日張った30mのFixにつなげる。さらに先に15mFixを追加。そこから先は広い尾根となり膝くらいのラッセルが続く。傾斜が急になった所でFixを1P張る。2300m付近は左側が切れているがコンテで通過。天候が悪くなり、2350mの平坦地に赤旗をデポして引き返す。下山時、2300mにFixを1P追加。2060mのコルには下部にいた社会人パーティーがテントを設営していた。

〈歩荷隊〉トレースがはっきりと残っており歩きやすく、順調にACに到着。早着のため水作りとブロック設営を行い、BCへ引き返す。

12月30日(火) 雪後晴

下部サポート隊:AC(6:30)〜P1830m(7:50-9:25)〜AC(10:50)
上部偵察隊:AC(13:15)〜2060mのコル(14:30)〜AC(15:00)
歩荷隊:BC(6:37)〜P1830m(9:25)〜AC(11:05)

メンバー
下部サポート隊:小久保、北村、高橋OB
歩荷隊:乙山、金生谷、松本OB、高野監督

〈下部サポート隊〉夜間の積雪でテントラッセルが必要なほど。悪天のため歩荷隊のAC入り支援を優先し、上部へは行かずP1830mで合流予定とする。ラッセルをこなして早めに到達後、高橋OBが下部の様子を偵察。1時間以上後に歩荷隊と合流し、偵察隊は先行してAC整地、テント設営、張替えを行う。晴れ間が出たため、小久保・高橋OBで上部偵察を実施。2060mのコルまで足を伸ばし、引き返す。

〈歩荷隊〉BCでは30cmの積雪。急尾根は空荷ラッセルも交えて登攀。P1830mから先は偵察隊のトレースにより歩きやすく、順調にACに到着。

12月31日(水) 雪

偵察隊:AC(6:30)〜2350m地点(8:25)〜2450m雪壁基部(10:25)〜2540m北稜合流点(13:20)〜AC(14:55)

サポート隊:2350m地点(8:40)〜AC(10:25)

メンバー 偵察隊:小久保、乙山、松本OB、高橋OB
サポート隊:金生谷、北村、高野監督

〈偵察隊〉予備日程、ルート状況、今後の悪天予想を踏まえ、F.P.を爺ヶ岳中央峰に変更。本日はルートが難しいため2年生とOBでルート工作へ。2350mまでは順調。P2370mの露岩を左から巻くのにFix1P。その先は胸までのラッセル。幅1mほどの尾根を橋を渡るように進み、2450mの雪壁基部に到達。斜度約60度、雪が不安定で崩れやすい。高橋OBが木から支点を取り、Fixを張りながら20m直登。その後、トラバースで横断、Fix1P追加して北稜支稜に乗る。さらに露岩とハイマツ混じりの雪壁を15m直登し、ハイマツをつかんで乗越。Fix30mを追加し、平坦地まで延ばして時間切れのため下山。慎重に下降する。

〈サポート隊〉2350mで引き返す。

1月1日(木) 晴後曇

アタック隊:AC(6:07)〜2450m雪壁基部(9:50)〜2540m北稜合流点(10:40)〜北峰(12:15)〜爺ヶ岳・中央峰(12:56)〜2450m雪壁基部(15:15)〜AC(16:15)
サポート隊:2440m雪壁直下(10:10)〜AC(12:30)

メンバー アタック隊:小久保、乙山、松本OB
サポート隊:金生谷、北村、高橋OB

〈アタック隊〉高野監督は下山。偵察結果をふまえ1年生は危険と判断し、2年生とOBでF.P.を目指す。出発遅れや忘れ物があったが、膝ラッセルをこなし慎重に雪壁を越える。北稜上はラッセルが続き、ワンアット2Pを交えて北峰に到達。クラストした主稜線上を夏道側に移動し、中央峰に到着。風は強いが眺望良好。引き返し後、Fixは1Pのみ回収し急ぎ下山。

〈サポート隊〉2450m雪壁手前で引き返し。帰路で高橋OBから弱層テストとFix通過の指導を受ける。

1月2日(金) 晴時々雪

Fix回収隊:AC(6:30)〜北稜Fix終了点(8:30)〜AC(13:20)
荷下げ隊:AC(6:30)〜BC(9:05-10:00)〜AC(12:00)

メンバー Fix回収隊:小久保、高橋OB/荷下げ隊:乙山、金生谷、北村、松本OB

〈Fix回収隊〉昨日のトレースが残っており、スムーズにFix終了点に達する。下りながら順調に回収し、昼過ぎにACへ帰幕。

〈荷下げ隊〉2日に分けての荷下げ。残されたトレースに助けられるも重荷で慎重な下りとなる。1750mの段差と露岩はワンアットで下降。BCに荷物をデポ後、ACに戻る。

1月3日(土) 晴時々雪

AC(6:30)〜P1830m(8:00-8:15)〜BC(10:25-11:30)〜P1830m(12:25-35)〜BC(13:35)

メンバー 小久保、乙山、金生谷、北村、松本OB、高橋OB

1750mの段差と露岩をこの日の重量で下るのは危険と判断し、P1830mに一部荷物をデポ。BCに到着後テントを設営し、逆歩荷でP1830mに戻る。下山中に乙山と高橋OBでFixを回収。本隊より1時間ほど遅れてBCに帰幕。ミーティング後、予備1日分を残して食糧解除。

1月4日(日) 晴

BH(6:45)〜大谷原手前(8:30-9:30)〜鹿島山荘(10:50)

メンバー 小久保、乙山、金生谷、北村、松本OB、高橋OB

最後まで慎重に下る。小久保と乙山でFixを回収。他のメンバーは先行して下山し、大谷原手前で合流。アイゼン・わかん等を外してスパッツに切替え、車道を歩行。全員無事に鹿島山荘へ到着。

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