山行概要
目的 | 冬季大日岳登頂 |
---|---|
山域 | 北アルプス北部 |
日程 | 2月26日(木)~3月12日(金) |
メンバー | 小久保, 乙山, 北村, 三戸呂, 松本OB, 森OB |
本山行は、冬季大日岳(2,501m)の登頂と積雪期登山技術の習得を目的として、6名体制で実施された。3月1日にベースキャンプ(BC)を設営後、雪崩斜面にFIX(3ピッチ)を設置し、雪見平までの偵察を行った。
3月2日には全員で前大日岳まで行動し、AC予定地を確認。急登にFIXを設置し、整地・デポを実施。翌日は積雪のためAC入りを見送り、2隊に分かれて足付け訓練を行った。
天候不良により4~7日は行動制限が続いたが、8日にAC再入。9日には大日岳の肩まで偵察し、FIXを追加設置。10日、好天の下で安全に登頂を果たした。
11日は予報に基づきBCへ下山し、12日に標識・FIXを回収して千寿ヶ原へ無事下山。全体を通して積雪期登山の基礎技術と安全管理を確認する実地訓練となった。
行動概要
2月26日(木) 晴
部室で森OBと合流。高野監督、山本篤ヘッドコーチに見送られて上野駅へ。駅から小久保、北村、三戸呂でダブル歩荷。上野には中沢OB、加藤OB、天野OB、谷山OBが見送りに来て下さった。23:33能登にて離京。途中、高崎で松本OBが合流される。
2月27日(金) 雪後晴
千寿ヶ原(8:50)-七姫平BH(10:00)
<上部偵察隊>
BH(11:30)-丸山(13:30)-BH(15:10)
<逆歩荷隊>
BH(11:20)-立山駅(12:00-12:20)-BH(13:10)
電鉄富山駅の待合室でテルモスに紅茶を詰めた後朝食。立山行きの電車を待っていると出勤途中の山本宗彦OBが来られ、同じ電車に乗る。立山駅で別れた後、再梱包。デポ品は駅の入り口に置かせてもらう。
その後杉田屋に挨拶に行き、コーヒーをご馳走になる。再び駅に戻って出発。ガソリンスタンド先のゲートまでは除雪されている。その先、すね位の積雪があるが軽い新雪で難なく進む。
所々で雪崩を警戒して間隔をあけて進む。途中、鉄柵を薙ぎ倒す程の雪崩跡があり、1人ずつ通過する。七姫平に着きテント設営をしていると、山岳警備隊の人達がやって来て近くで休憩した後、スキーで人津谷に入って行った。
設営、昼食の後、小久保、森OBで上部偵察に向かい、残り4人で逆歩荷。
<上部偵察隊>
橋の先のガードレールを乗り越えて取り付きへ。始めから急な登り。ラッセルはすねから膝下くらい。空は次第に晴れて暑いくらい。上に行くほど傾斜は緩くなる。丸山(972m)のピークで引き返す。赤テープを補充しながら下り、650m付近の送電線の下の樹林が無くなっている斜面にFIX2P張り、帰幕。
2月28日(土) 快晴
BH(5:45)-二本杉BC(7:40-8:05)-BH(9:00)
メンバー:
- 偵察隊: 小久保, 三戸呂, 森OB
- 歩荷隊: 乙山, 北村, 松本OB
〈偵察隊〉
昨日のトレースを辿って丸山まではサクサク進む。コルの先の急登を越えればあとは緩く広い尾根をすね位のラッセルで進み、二本杉に到着。
二本目の杉の脇をB.C.予定地として整地。南側に鍬崎山が綺麗に見える。官物をデポしてB.H.に戻る。帰幕後、テント張り替えを行う。その最中、またしても他のパーティーがやって来る。その中に去年鍬崎山で会った社会人山岳会の人がいた。スキーで人津谷に入って行った。
〈歩荷隊〉
偵察隊に5分遅れて出発。綺麗なトレースがあり、順調に進む。二本杉手前で追い付く。下りは同一行動。
2月29日(日) 雨
BH(5:55)-BC(7:50-8:10)-BH(9:00)
起きると外は雨。出発の頃には小降りに。今日は全員でB.C.へ歩荷。雨具で出発。順調に進み、二本杉に着く頃には雨はほぼ止む。デポしてすぐに引き返す。帰幕後、テント張り替え。この頃、再び雨が降り始め本降りに。外張りは雨に弱く、少し雨漏りする。
3月1日(月) 雪後曇
BH(5:45)-BC(7:40) 偵察隊 BC(8:05)-P1356m手前(11:50-12:00)-雪見平(13:25)-BC(14:30)
今日はB.C.入り。しかし梱包の際、補助ザイルが1本見当たらない。全員で確認するが明らかに下にはない。昨日間違ってデポしたとしか考えられず、やむを得ず出発する。昨日同様、順調にB.C.に到着。デポ品を確認すると補助ザイルがあった。
〈偵察隊〉
乙山、三戸呂、森OBが上部偵察へ。はじめは広く緩やかな尾根でルートはわかりにくい。P1356mへの雪崩斜面を50mほど登るが、雪崩の危険性を考えてFIXを張ることに。基部から3P張る。
雪崩斜面を終えて稜線上に上がったところで昼食。1400mの小ピークから先、所々細くなったり小さな雪庇が現れるがルート選択により問題なし。雪見平(1566mのJ.P)に到着し、警備隊と文部科学省の旗を確認。赤テープを補充しながら慎重に下山。
3月2日(火) 晴後雪
BC(5:55)-雪見平(9:25)-前大日岳AC(11:00-11:20)-BC(13:15)
本来偵察と追いかけ歩荷で隊を分ける計画だったが、隊の実力を考慮し同一行動とし、全員でA.C.までの偵察とする。
雪崩斜面のFIXを通過。1480m付近の急登にFIX55mを2年2名で張る。雪見平から先は交代でラッセル。途中、小ピーク登りで柔らかい雪の下に硬い層があり、アイゼンに履きかえ。前大日岳に到着後、整地と赤旗をデポし、天候悪化に備えて急いで下山。
3月3日(水) 雪後晴後曇
<上部足付け隊>
BC(6:15)-FIX基部(6:35-7:00)-BC(7:15)
<下部足付け隊>
BC(6:15)-丸山(7:00)-BC(7:25)
メンバー:
〈上部足付け隊〉小久保、北村、森OB
〈下部足付け隊〉乙山、三戸呂、松本OB
全員でA.C.への歩荷を予定していたが、昨夜からの積雪が50〜60cmに及んだため、安全を考慮して中止。訓練を兼ねて梱包だけ行い、その後、上部・下部に分かれて足付け訓練を実施した。
<上部足付け隊>
膝程度の軽い積雪の中、昨日のトレースを辿りながら進行。FIX箇所手前で弱層テストを実施。下層は丈夫だったが、上部の新雪による表層雪崩の懸念があり、引き返す判断を下す。
<下部足付け隊>
軽い積雪のため、ラッセルらしい苦労はなく順調に行動。標識を整備しながら丸山の下り始めまで往復し、復路で先に戻っていた森OBと合流。
3月4日(木) 曇後雪
BC(5:50)-デポ地点(7:00-7:15)-BC(7:40) 下部足付け隊 BC(10:20)-丸山(10:30)-BC(10:50)
出発する頃から雪が降り始め、次第に強さを増す。P1356m手前の木の根元に官物をデポして急いで引き返す。帰幕後、9:10の天気図を取った後、小久保と森OBで下部足付けへ。他のメンバーはテント張り替え。小久保も合流し3回目で時間をクリア。
3月5日(金) 晴
BC(5:45)-雪見平(8:10)-AC(9:15-9:35)-BC(11:20)
天候良好で弱層テストも問題なし。昨日のデポ地点まで行き再梱包。すね〜膝のラッセルを交代で行いAC到着。気温が低く風も強いため、デポ後アンザイレンしてBCへ下山。
3月6日(土) 雪
BC(5:30)-雪崩斜面直下(6:00-6:20)-BC(6:40)
AC入り予定だったが、低気圧接近のため強風が続く。雪崩斜面直下で引き返し、再びテント設営。以後停滞。
3月7日(日) 雪
<上部足付け隊>
BC(7:45)-雪崩斜面直下(8:00-8:10)-BC(8:20)
<下部足付け隊>
BC(7:50)-丸山(8:25)-BC(8:50)
メンバー:
<上部足付け隊>:小久保、三戸呂、松本OB
<下部足付け隊>:乙山、北村、森OB
出発時に雪が強くなったため行動中止。サブ梱包後、上部・下部に分かれて足付け。帰幕後、天気図で冬型確認。停滞。
3月8日(月) 雪後晴
BC(10:00)-雪見平(13:30)-AC(15:05)
降雪後の積雪50cm程度。天気待ち後、雪質安定を確認して出発。雪崩斜面通過後、苦戦しながらラッセル。FIX回収し、ACに到着しテント設営。
3月9日(火) 晴時々雪
AC(5:55)-1960m付近・天気待ち(7:50-9:50)-大日岳の肩(12:05)-AC(15:50)
雪庇確認後、アンザイレンで出発。視界不良のためツェルトで天気待ち。大日岳の肩で偵察終了。FIX合計5P設置後、下山。
3月10日(水) 快晴
AC(5:45)-大日岳の肩(7:50)-大日岳(9:50-10:00)-AC(13:20)
快晴の中アタック開始。膝ラッセルや風雪に苦戦しながらも登頂。下山時に標識・FIXを回収。
3月11日(木) 雨後曇
AC(6:15)-BC(12:15) 下部偵察隊 AC(12:25)-丸山(12:55)-AC(13:25)
悪天候が続く予報のため、一日でBC入りを決断。FIXの追加設置や工作に時間を要したが無事通過。到着後に下部偵察とテント設営。
3月12日(金) 曇
BC(7:15)-取り付き(11:50-12:10)-千寿ヶ原(12:40)
標識回収しながら下山。FIXの追加と回収後、埋没・ビーコン訓練も実施。道路上に雪はなく、無事千寿ヶ原到着。